京大理学部に受かった数学の天才
その生徒への英語の個人指導は2019年7月23日から2020年2月18日まで続き、毎週1回2時間でした。
生徒の紹介時に「京都大学理学部志望」「数学者になりたい」のに「普段ほとんど勉強していない」と聞いていました。
実際に会ってみると、数学と物理はものすごく成績がよく、化学もできる。
お母さんから「あんたは英語と国語が苦手だから塾に通いなさい」と言われたのが通塾のきっかけだということです。
この生徒の模試の成績を見ると、東京大学理科3類にも入れそうでした。しかし、本人は医学部にも東大にも全く興味がありませんでした。
この生徒について印象的な経験が二つあります。
一つは、京大の入試問題(長文読解)の英文を読んでいると、数学の問題が書いてありました。
いわゆる「ビュフォンの針」と呼ばれる確率の問題です。
詳しくは下の記事を参考にしてください。
ビュフォンの針の問題と確率の導出 | 高校数学の美しい物語 (manabitimes.jp)
私がその生徒に「この問題、解ける?」と尋ねたところ、「はい」という答えが返ってきました。
問題を見た瞬間にその生徒は「三角関数を積分します」と言いました。
「は?」
訳が分かりません。
もう一つの印象的なエピソードは、地理についてのものです。地理選択だと聞いたので私が一つ質問しました。
「世界に一つだけ日付変更線と赤道が交差する国が一つあるんだけど、どこか知ってる?」
その人は「知りません」と答えました。そうか、知らないこともあるんだなと思って正解を言おうとすると、その人は目をつぶって考え始めました。
この質問は考える問題ではありません。おそらくその人の頭の中には世界地図か地球儀が広がっていたのでしょう。すぐに「キリバス」という正解が出ました。
その瞬間、寒気がしました。
2020年の京大入試での数学6問は難問ぞろいだったそうです。その受験生はそのうち5問完答したそうです。それを聞いたときの私の感想は、
「この人でもできない問題を京大は出すのか~」
でした。