障害を乗り越えた女子高生の話
ある合格者を紹介します。
塾を経営されている方からの紹介で初めて会ったのは彼女が高校3年生になる直前でした。
週1回、日曜日の午前中から3時間英語の個人指導をしてほしいと言われました。
これまで会った数百人の生徒と決定的に違う点は、生まれつき耳が不自由だったことです。
聴覚障害といってもいろいろなレベルがあるでしょうが、その生徒は全く聞こえないのです。
今まで全く音のない世界に暮してきた人に英語の個人指導をする。
どんな方法で?
その子のお母さんは英語の通訳を職業にしています。
しかし、自分の娘が英語、それどころか言葉というものをどのように認識しているか分からないと言っていました。自分は英語ができるのに英語を教えるのは無理だとも言っていました。
指導方法を考えているうちに、一つ考えが浮かびました。
彼女は手話ができますが、私にはできません。
そこで、彼女はシャープペンシルを使って伝えたいことをノートに書く。
私は小さなノートパソコンを買って、話したい内容を打ち込む。
彼女は画面を見て、また自分の伝えない内容をノートに書く。
このような方法で「会話」をしました。
ある日の「授業風景」を掲載します。
5月20日
感想は?難しかったですか。物足りない?国公立は記述式なのできっちりした訳が求められますね。日本語力を試そうとしています。
1-2
Today many men share the housework with their wives. 今日、多くの男性たちが彼らの妻たちと家事を分かち合う。
そうですね。家事の分担の話ですね。
In these families the men clean the kitchen and wash the clothes. これらの家族では男たちが台所をきれいにしたり、衣類を洗ったりする。
On some nights the wife cooks dinner. On other nights the husband does. その夜に妻たちは夕食を作る。その翌晩は夫が作る。
意訳しましたね。通常「妻が夕食を作る夜もあれば、夫が作る夜もある」
They both go shopping and they clean the house together.彼らは二人とも買い物に行き、協力して掃除する。
訳が自然ですね。いいと思います。
The husband also spends more time at home with the children. 夫はまた子供たちと家庭で多くの時間を過ごす。
惜しい!moreは比較級ですね。比較級は常に何かと何かを比較していますが、比較の対象が書かれていないこともあります。それを補って訳すと高得点を取れるでしょう。何と比較しているのでしょうか。それが分かる訳の方がいいと思います。僕は今日の夫とかつての夫を比較していると思います。than beforeが省略されているように訳しましょう。
例えば「夫は以前よりも子供と家庭で多くの時間を過ごす」とか。
Some men even stop working for a while. 何人かは少しの間仕事をやめてさえも。
文になっていませんが。直訳すると「何人かの男はしばらくの間仕事を辞めさえする」→「しばらくの間仕事をしない男もいる」someが文頭に来る場合の訳し方は「~する者もいる」とすると自然な日本語になります。一つのテクニックですね。
なるほど。Stopの訳にこだわりましたね。僕はそこまで深く考えなかったですね。○○さんの方が思慮深い。
People call these men “house-husbands.” 人々はこのような男性たちを「家政夫」と呼ぶ。
うーん。通常「主夫」と言います。定着していると思います。最近増えてきましたから。
In the United States more and more men are becoming house-husbands every year.アメリカ合衆国では毎年どんどん男性たちが家政夫化していっています。
今日、アメリカでは主夫になる男性がますます増えている。
よくできています。文法問題集も同時に見ていきましょう。「Next Stage」という受験生が多く使っているものです。
以上です。
彼女は、大学合格まで約1年間、困難や障害にもかかわらず頑張ってくれました。その結果、大学2校に合格しました。
その1年間の「記録」は私の宝です。
当初は「自分が通っている特別支援学校の国語の先生になりたい」と言っていたのですが、大学卒業後は誰でも知っている超有名企業に就職したそうです。
休日は同じような障害を抱えた人達との交流や支援に務めています。